毒があるアリをわざわざ選ぶ?最古のハイエナ「アードウルフ」が生き延びた理由は

2024/09/08

アードウルフの全身像
(photo by: Derek Keats)
名称(学名)
アードウルフ(Proteles cristatus)
分類
食肉目 ハイエナ科 アードウルフ属
分布
アフリカ(南部、東部、北東部)
生息地
サバンナ、草原、低木地帯
体長
55~80㎝(頭~胴)、20~30㎝(尾)
体高
40~50㎝
体重
7~15㎏

犬のようなハイエナ唯一の生き残り、絶滅を免れたアードウルフの血統

 ウルフの名を冠してはいるが、アードウルフはイヌ科に属する動物ではない。だが、ウルフと呼ばれていることはとても名誉なことだ。それは祖先から受け継いだ、彼らの素晴らしい血統の証なのだから。

 実のところ、アードウルフはハイエナ科に属しているのだが、現存する他のハイエナとは出自が少々異なっている。時は遡って1500万年前。アードウルフの祖先はユーラシア大陸を悠々と歩き回っていた。彼らはその姿から「犬のようなハイエナ」とも呼ばれ、着々と数を増やしていた。

 ところが500万年前まで時代が進むと、気候変動により地球は急激に冷え込んでしまう。寒さもさることながら、獲物の数が著しく減少し、犬のようなハイエナも全盛期ほど優雅な暮らしは望めなくなってしまった。

 一方で、彼らとは異なるグループのハイエナたちは、独自の進化を遂げて寒冷化に耐えていた。「骨を砕くハイエナ」と呼ばれるグループのハイエナたちは、顎をより強く発達させることで、骨をかみ砕いて内側にある脊髄を取り出していた。他の動物には食べられないような部位も食べることで、獲物が少ない環境でも生き延びていたのだ。また獲物を確実に仕留められるように、群れをつくるようにもなった。

 さて、寒冷化が進むにつれて海水は氷結していき、水位も次第に下がっていった。やがてアラスカとシベリアの間にある海は干上がり、ついに地続きとなる。ベーリング陸橋が誕生したのだ。この地理的変化も、犬のようなハイエナには追い打ちとなった。本場のイヌ科動物が橋を渡り、ユーラシア大陸へ渡ってきたからだ。

 たとえ身体能力が比肩しようとも、単独生活しているハイエナでは、集団で狩りをするイヌ科動物には勝ち目がない。狩りの成功率に劣るだけでなく、時にはせっかく狩った獲物をイヌ科の集団に奪われることもあっただろう。

 こうして寒冷化とイヌ科の襲撃に苦しまされ、犬のようなハイエナは姿を消していった。150万年前にはほぼすべての種が絶滅し、アードウルフただ1種を残すのみとなった。

 繰り返しになるが、アードウルフはウルフ(イヌ科)ではない。ただ、「犬のようなハイエナ」の血を受け継いでいる唯一の種であることは確かだ。今は亡き、由緒正しいハイエナに連なるものとして、彼らは今もウルフと呼ばれ続けている。

猛毒シロアリを1日20万匹丸飲み、特化しすぎた舌と胃の驚異的進化

 同胞は絶滅したというのに、なぜアードウルフは生き残ることができたのだろうか。それはひとえに食性のおかげだろう。アードウルフの先祖は、肉よりもむしろ昆虫を好んで食べていた。周りのハイエナやイヌ科が肉をめぐり争う中、誰も狙おうとしない昆虫を食べて暮らしていたわけだ。

 競争相手がいなかったおかげで、他のハイエナが次々と脱落する中でもしぶとく生き残ることができた。そして偏食をさらに強めていき、ついにはシロアリしか食べない奇妙な食虫動物へ進化を遂げた。アードウルフの誕生だ。

 現存する動物種にもシロアリを食べるものはいる。だがアードウルフからシロアリを奪おうとする猛者はいないだろう。横取りしようものならば、たちまち食中毒に苦しむことになる。アードウルフはとりわけ毒性の強いシロアリを食べているからだ。

 アードウルフが好んで食べるのはトリネルビテルメス属に属しているシロアリだ。この種のシロアリは襲われると「テルペン」を分泌し、その身を守ろうとする。テルペンは合成ゴムの材料にされる頑丈な化合物で、もちろん食用には向いていない。もし食べてしまえば消化不良や吐き気で苦しむことになる。

 わざわざ毒物を口にする動物はいない。のんきに地上を這いずり回るシロアリを見つけたとしても、それを食べようとはしないだろう。だがアードウルフは例外的に、ハイエナ科に特有の強い胃袋を用いて、テルペンも問題なく消化している。誰に邪魔されるでもなく、ごちそうを存分に味わっているわけだ。

アードウルフがエサにする、トリネルビテルメス属のアリ塚
シロアリ(トリネルビテルメス属)の暮らすアリ塚。アードウルフはにおいを嗅ぎつけ、地上を徘徊するシロアリだけをその胃に収める。(photo by:JMK)

 アードウルフと争ったところで、得られるものは何もない。それを知っているからこそ、他の動物もアードウルフをわざわざ追い払ったりはしない。たとえばオオミミギツネもアードウルフには無関心のまま走り去っていく。背格好が似ており、しかも昆虫を食べて暮らしているという共通点もあるというのに、エサを巡るライバル関係にはないのだ。アードウルフの先祖がイヌ科動物と争わずに暮らしてきた歴史の跡が、現代でも色濃く見られる瞬間だ。

 アードウルフの狩りは日没にはじまる。シロアリが活動を始める時間になると、顔を伏せたままゆっくりと歩き始める。地面に耳を押し当てて、シロアリの立てる音を聴いて回るのだ。大きな耳はシロアリが立てるわずかな音も聞き漏らさない。大まかに方向を突き止めると、今度は嗅覚に頼り始める。アードウルフは鼻もよく利くため、土の中に隠れているアリのにおいも嗅ぎ取ることができる。

 ごちそうの群れを見つけると、彼らはシロアリを舐めて口の中へ放り、そのまま丸飲みしてしまう。これをなせるのは特殊な舌のおかげだ。シロアリを取りこぼしようがないほど広くて長い舌は、表面が無数のイボに包まれている。舌を出し入れするとシロアリが凹凸に引っかかり、そのまま口の中まで運ばれていくという寸法だ。

 またアードウルフは顎下腺がとても発達している。ネバネバした唾液をたくさん分泌し、それを舌にまとわせるためだろう。この粘り気がシロアリを掴んで離さないため、効率的に口まで運ぶことができる。

アードウルフの長い舌はあくびをすると口からはみ出てしまう
長い舌はあくびをすると口からはみ出る。無数の乳頭突起が舌の表面積を広げ、シロアリを付着させやすくしている。(photo by: Tambako The Jaguar)

 一心不乱に舌を出し入れしながら、アードウルフはシロアリを次々と胃の中に収めていく。一日で20万匹のシロアリを食べるというのだから驚きだ。年間では最大1億500万匹ものシロアリを捕食するという試算もある。これにはオオアリクイもびっくりだろう。アリを食べるスペシャリストではあるが、オオアリクイは1日3万匹しかシロアリを食べない。アードウルフの食欲には遠く及ばないのだ。

 それにしても、これだけの数が消費されるというのに、シロアリは絶滅しないのだろうか。これに関してもアードウルフは解答を持っていた。彼らは地面を這うシロアリだけを狙い、アリ塚には触れようとしないのだ。つまり数は減るものの住まいは残されるため、シロアリは時間さえあればまた増えることができる。

 そのことを理解しているのか、アードウルフはシロアリをほどほどに食べると、すぐに次のアリ塚へ移動してしまう。元のアリ塚は数ヶ月ほど放置しておき、シロアリが十分に増えたタイミングでまた食べに来るのだ。こうしてローテーションを組んでアリ塚を徘徊すれば、シロアリを絶滅させずに腹を満たし続けることができる。アードウルフは戦略的に獲物を管理することで、その命を脈々とつないでいるのだ。

排泄量1キロ超えのトイレ習慣、砂と毒を管理しているアードウルフの知恵

 アードウルフはマナーに厳しい動物だ。トイレを建設するばかりか、その匂いが外へ漏れないように蓋まで被せるのだから。彼らの1日はトイレから始まる。あたりが暗くなると巣穴から出てきて、その近くで穴を掘り始める。即席のトイレを完成させるためだ。

 納得がいく深さまで掘ると、彼らはおもむろに糞を落とし始める。その排泄量は1000グラムを超えることもある。人間は1日に100~200グラム程度しか大便を排泄しないことを考えると、驚異的な数字だ。

 小柄なアードウルフのどこにそのような大物が詰まっているのだろうか。その秘密もやはり食事にあった。実はシロアリと一緒に砂も飲み込んでいて、それを糞に混ぜて排泄していたのだ。

 排泄される砂は糞のおよそ半分を占めるのだという。それだけの砂を飲み込むとなれば、彼らの胃は泥だらけに違いない。栄養の選り分けにはさぞ苦労することだろう。だがアードウルフにとって砂は欠かせないアイテムだ。砂の摩擦でシロアリの硬い外殻をすり潰せば、消化効率を高めることができる。

 彼らの糞にはもうひとつ奇妙な特徴が備わっている。テルペン臭だ。シロアリが毒物として利用するだけのことはあり、強い胃袋を持つアードウルフであっても、テルペンを完全に消化することは難しい。消化しきれなかったテルペンが混ざり込み、糞も刺激的なにおいを放ってしまう。

 これは由々しき事態だ。あちこちに糞を落としてしまえば、シロアリが出すにおいをかき消してしまい、嗅覚でシロアリを見つけづらくなる。だからこそアードウルフはトイレを作る。糞を1か所にまとめておき、テルペンのにおいが散らないように管理するのだ。

 トイレは1つのなわばりに20か所も建設される。用を足した後は砂を被せ、においが漏れるのを防いでもいる。これならばシロアリ探しに支障をきたす心配もない。これほど徹底して糞の管理をするのだから、アードウルフはとても利口な動物なのだろう。

1ヶ月ごとに住居を変える転勤生活、天敵と寄生虫を避けるための警戒心か

 有毒なシロアリという極めて珍しい獲物をエサにするため、アードウルフにはエサをめぐるライバルがいないように思える。だが上手い話はそうそうない。残念ながら、自分ではない他のアードウルフという最大のライバルがいる。

 アリ塚やトイレを管理してせっかく狩りの効率を最大化したというのに、それをライバルに奪われるのは避けたい。そこで彼らはなわばりを主張することにした。自分の存在をアピールしてライバルに警告するのだ。近づいたら容赦はしないぞ、と。

 お気に入りの草を見かけると、アードウルフは尿でもするように香水を振りかける。さらに草を振り回してにおいをまき散らす。肛門腺から強烈なにおい物質を分泌して、他のライバルを牽制するのだ。

 もっともなわばり意識はあまり強くない。不意に他のアードウルフと遭遇しても、ケンカまで発展することは稀だ。たてがみを膨らませて自分を大きく見せたり、前足を踏み出して突進するふりをしたり、相手を驚かせる程度にとどまる。それで相手が逃げるのであれば上々だ。わざわざ追い回すことはしない。

 そもそも彼らはケンカが得意ではない。ハイエナ譲りの顎は強力だが、肝心の歯が脆くて使い物にならない。特に臼歯は釘を思わせるほどに痩せており、肉を裂いたりすり潰したりといった攻撃にはまるで向いていない。

 これは長い時代をかけてシロアリを食べ続けた弊害なのだろう。彼らはシロアリを丸飲みするため、食事において歯の出番はない。そして使われない機能というものは退化する定めにある。時代を重ねるごとにアードウルフの歯は痩せていき、ついには肉を食べるのが難しくなるほどに細くなってしまった。シロアリ以外を食べるにはあまりにも非効率的な形状となってしまったのだ。

草原を歩き回るアードウルフ
アードウルフは運動があまり得意ではない。水を泳いだり木を登ったりせず、普段は時速1㎞で歩いている。(photo by: Brad Taylor)

 現代でも小鳥や小型哺乳類を口にするアードウルフが見られるが、それは偶然の産物であり、狙って食べているわけではない。彼らの標的はあくまでもシロアリであり、他の獲物にはほとんど無頓着なのだ。それゆえに自分以外の動物に目を向けることはない。

 ただし相手が捕食者となると話も変わってくる。チーター、ヒョウ、ライオン…。アードウルフを狙う動物は多く、中には同じハイエナ科動物のブチハイエナも含まれる。アードウルフの小さな体では到底太刀打ちできない相手だ。

 最善策は見つからないこと。昼間は巣穴でおとなしくしておき、あたりが暗くなってから外へ出かけていく。彼らの縞模様は草むらに紛れるのに適している。宵闇に紛れ、草木に紛れ、おそろしい天敵から身を隠しながらエサ探しに興じる。そのように8~9時間ほど夜の散歩を楽しみ、昼間はまた巣穴に隠れる生活を送る。

 ただし彼らは1つところに留まるわけではない。巣穴は6つほど用意しておき、1~2ヶ月サイクルで引越しながら生活する。これも天敵から身を隠すための知恵なのだろう。もし1つの巣穴に籠り続けてしまえば、巣穴の中は体臭が充満してしまう。これでは居場所を教えるようなものだ。においが外に漏れて、天敵から嗅ぎつけられてしまう。あるいはハエや寄生虫を呼び寄せてしまうのも具合が悪い。定期的に換気するためにも、やはり住まいは移さなければならない。

 面倒ではあるが、引っ越しもそう悪いことばかりではない。エサ場にしていたアリ塚から離れている間は、そこに暮らしていたシロアリが増殖する猶予も生まれる。元の巣穴に戻ってきた頃には、食べきれないほどのシロアリが迎えてくれるだろう。実に効率的な生活スタイルである。

40%が不貞をはたらく複雑な夫婦関係、一夫一婦制の裏にある繁殖戦略

 イソップ寓話のひとつ、『アリとキリギリス』がアリの勤勉さを褒め称えているように、アードウルフが狙い撃ちするシロアリも熱心に働いている。冬の間は出歩かなくても済むように、干し草をアリ塚にせっせと蓄え続けるのだ。

 勤勉さは美徳とはいえ、アードウルフにとっては好ましくない習性だろう。シロアリがアリ塚に籠ってしまえば、それに依存していたアードウルフは腹を満たせなくなる。場所によっては2ヶ月もの絶食を強いられ、体重もみるみる減ってしまう。

 この苦しみを子にも与えるわけにはいかない。アードウルフのメスは子育てを快適に行うためにも、シロアリが豊富な時期を狙って出産する。そしてその時期から逆算して、メスもオスもパートナーを探し始める。たとえば南アフリカでは7月(乾季)に交尾期を迎え、11月(雨季)で出産するのだという。

 交尾期を迎えるとオスのアプローチが盛んになる。マーキング回数を積極的に増やして、自分のにおいをメスへ届けようとする。やがてパートナーを見つけたオスとメスは”つがい”となり、共に暮らすようになる。アードウルフは一夫一婦制を採用しており、2~5年にわたる強固な絆を結ぶのだ。

巣穴から顔を出してリラックスするアードウルフ
巣穴から顔を出すアードウルフ。冬場は昼にも外出するが、夏は日中をほぼ巣穴で過ごす。 (photo by: Derek Keats)

 普段は臆病なアードウルフのオスも、この時ばかりは勇気を振り絞らなければならない。他のオスからパートナーを守ろうとして、本気のケンカに身を投じる。滅多に上げない吠え声を上げ、前橋を踏ん張りながら相手の首へ食らいつこうとするのだ。そうやって敵を撃退すると、つがいはようやく穏やかな生活を取り戻す。互いにじゃれ合いながら、絆をさらに深めていく。

 なんとも美しい話だが、この話には続きがある。どんなに仲睦まじく見える夫婦でも、その裏では当たり前のように不貞行為をはたらいているというのだ。交尾期を迎えたメスは、オス同様にマーキング回数を増やしていく。それはつがいを成した後でも変わらない。時にはなわばりの外に足を延ばしてまで、自分のにおいを撒こうとする。パートナー以外の異性を呼び込もうとしているのは明白だ。

 つがいのオスも同様に、他の異性を求めて止まない。他のオスのなわばりに侵入してはマーキングを重ね、そこで暮らしているメスにアピールしようとする。やがて不貞相手に出会ったアードウルフは互いに戯れ、交尾し、また別れていく。南アフリカにおいては、実に40%ものアードウルフがこうした不貞行為に及ぶのだという。

食事を我慢して子守に勤しむ献身的な父親、シロアリの毒に苦しみながら慣れていく子供たち

 アードウルフは子煩悩な動物だ。たとえそれが不貞相手の子であっても、与える愛情に差を付けたりはしない。極めて稀ではあるものの、1頭のメスと交わった2頭のオスが、共に育児を手伝うケースさえあるのだという。

 母親は1度の出産で2~3匹の子を産む。生まれたばかりの子はとても弱々しく、体重も200グラム程度しかない。敵に襲われてはひとたまりもないだろう。特にセグロジャッカルは厄介な相手で、においを嗅ぎつけては我が子を狙って襲い掛かってくる。

 いくら巣穴に隠しているとはいえ、子どもを放っておくことはできない。だからアードウルフの夫婦はローテーションを組んで、片方が必ず巣に残るように暮らしている。

 もちろん苦労は分かち合う。母親は子に母乳を与えるためにも、より多くのシロアリを食べなければならない。父親もそれを分かっているため、食事の優先権を母親に与えて、自分は子供たちの面倒を積極的に見ようとする。たとえば母親は6時間ほどかけて食事を楽しむのに対して、父親は母親が戻ってから日の出までのわずか2~3時間しか食事を取らないのだという。

 両親の苦労もあって子どもは急速に成長していく。生後3ヶ月で親について回るようになり、シロアリも食べ始めるようになる。だが苦難が始まるのはここからだ。実はアードウルフも最初からシロアリを食べられるわけではない。特に幼少期はシロアリのテルペンにまだ耐性を持たないので、大量に食べると吐き戻してしまう。

 また外出が増えるので、天敵からも発見されやすくなる。両親は子どもが乳離れするとほとんど面倒を見なくなるため、子どもたちは自力でシロアリを探すしかない。

 巣穴から顔を出す子どもたちは、いつも不安な様子を隠せない。天敵に怯えながらシロアリを探して歩き、毒にも苦しむという過酷な幼少期を送ることになる。それでも子どもたちはシロアリを食べ続ける。ここで栄養を蓄えておかなければ未来がないと、本能は知っているのだろう。

 アードウルフは生後7か月で独立し、少なくとも1歳までには巣穴を追い出される。この時期はアードウルフの死亡率がもっとも高くなる。経験したことのない寒波に襲われ、しかもエサとなるシロアリが姿を消すのだから当然だ。

 厳しい冬を越すためには、シロアリがまだ豊富なうちに食べておき、十分に成長しておかなければならない。『アリとキリギリス』のアリがそうであったように、それが苦痛の日々であるとしても、未来を迎えるためには耐えなければならないのだ。

 そうやって少しずつシロアリの毒に慣れながら、子供たちは成長していく。やがて冬を越えてたくましく成長したアードウルフの若者は、パートナーを求めて旅に出る。両親の背を見て育った彼らもまた、新たな世代へ命をつないでいくのだろう。


参考動画